プロジェクト・デザイン・パターンを読んだ

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以前に@mao_instantlifeさんから、プレゼンテーション・パターンの本を借りて以来、 パターン・ランゲージに興味が湧いたので、読んでみました。

第一部 対談

まずは著者のお二人である井庭 崇さんと梶原 文生さんの対談から始まる。 この本を作ることになったきっかけは、梶原さんが企画を作る際に使っているパターンを具体的に文字に起こすためであるようだ。 企画のノウハウ・コツをまとめて、パターンに落とし込んで、共通言語化することで、応用のための発想のヒント・切り口をもっておく。

また、発想の生み出し方がワンパターンになってしまい、なかなかいいアイデアが出ないようになる。それを打開するために、 「企画のコツ」をまとめて、いろんな視点で考えられるようになるということも、自身の目的であったらしい。

パターン・ランゲージにすることで、応用の幅が広がり、また、使ってないパターンはないかを意識することで、考慮抜けが 発生しにくくなるんじゃないかと感じた。パターンは32個もあり多いように思えるが、組み合わせて使うものであるし、使わなくてもいいものもある。 パターン同士の組み合わせを独自のパターンとしてまとめてもよいと。

7の、「パターンを通してみるUDSの事例」では、冒頭の「かっこよくて(デザイン性)、儲かって(事業性)、意義のある(社会性)もの」という3セットを 意識するという点に感激した。個人的な思考になると、どうにも「儲かって」の部分を疎かにしてしまいがちであるし、意義のあることばかりを意識して 夢物語を考えてしまい、諦めるということがよくある。そこを「諦めずに考え続ける。これに尽きます」と言われてしまい、ぐうの音も出ない。

継続性を考えたら事業性がないと全てが回らなくなるので、一番重要だと思った。また、その「諦めずに考え続けるためのツール」が、 プロジェクト・デザイン・パターンなのだろう。

社会性を持たせることで事業性が出たりする事例の紹介があり、とても興味深かった。

第二部 プロジェクト・デザイン・パターン

企画のコツが32個のパターン・ランゲージの形式で見開きで紹介されている。 見開きのため、簡潔でわかりやすい。ほどほどの抽象度のため、「こうしなければならない」ということもない。

どういう「状況」このコツが使われるか、その状況だとどういう「問題」が生じやすいか、など起こる問題を予見することも できるようになりそう。また、その問題をどう「解決」すればよいかのコツ、そこからポジティブな「結果」が期待できることが書かれている。

また、32個のパターンは5つのカテゴリーに分けられている。

  • CORE: 企画者として持つべき哲学
  • LEARN: 企画のもととなる「情報をつかむ」ためのコツ
  • CREATE: 実際に「企画をつくる」上でのコツ
  • LIVE: より良い企画をつくる「企画人として生きる」ことに関するコツ
  • PREASURE: もう一つの企画の捉え方

5つにカテゴライズされているので、自分に足りてない部分について読んだりするとよさそう(全体的に足りてない感じがするが)。 また、パターンなので、普通に使っているものも結構ある。特にアジャイルサムライなどを読んでいる人は、そう感じるんじゃないだろうかと思う。 あれもまた、プロジェクトを進めるためのパターン・ランゲージなのかなと思う。エレベーターピッチとか、「一言でいう」とほぼ同じだし。

全て参考になったが、自分があまりできてないなと思ったのは、

  • 1. 企画の哲学
  • 4. 体感判断
  • 8. 予想とのギャップ
  • 11. 言われてみれば欲しかったもの
  • 12. 隠れた良さ
  • 14. 徹底リスト
  • 15. 考えるための点数化
  • 18. 実現のリアリティ
  • 19. なぜの掘り下げ
  • 26. 好きなことを増やす
  • 28. 目標にする3人
  • 32. 楽しい記憶

…かなり多い。できてないパターンの質を考えると、だんだん自分が老害化していっているんじゃないかという気がした。 とくに、「言われてみれば欲しかったもの」とかを最近あんまり考えなくなってきている。考えを改めて周囲を観察するようにしていきたい。 また、昔は目標にしていた人もいたのだが、今はとくにいない…。憧れとかもうほとんどなくなってる。粗のほうに目が行ってしまいがちなのだ。 しかし、本にも書かれていたが、1人に絞ると劣化コピーになったり、尊敬できない部分までコピーしたりすることになりそうなので、 尊敬できる部分だけを目標にすればいいのではないかと思えた。

第三部 プロジェクト紹介

プロジェクトの紹介は、実際にUDSが手がけた物件の紹介。 コンセプトの紹介や、どういうパターン・ランゲージを使ったか、何が課題でどう解決したかなど見開き2ページで紹介されている。

なんとなく聞いたことのある建物などについても、考えの組み合わせでこんなにも斬新になるのか!?という驚きでいっぱいだ。 また、普通考えたらできなさそうなところを徹底的に考えてどんどんできるようにしている過程が想像できる。 こういう仕事をしているとワクワクしそうだなと思った。

全体を通しての感想

パターンを全部把握するには相当使い込まないといけないと思うので、この本はいつでも手に取れるくらいの距離にあるべき本だと思う。 というか、パターン・ランゲージの本はだいたいそういう本だとは思う。Kindleよりも物理本がいい。

とくに意識せずにパターンを使いこなせてるくらいになりたい。 習慣化するためのパターン・ランゲージがほしい。


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